第二週 張る度胸と引く度量

 ずるずると負けを重ねる人の特徴として、掛け金にメリハリがないということが挙げられる。これは平場には3000円しか張らんがメインなら1万は突っ込むとか、そういうコトじゃない。例えば8割方当てる自信のある馬券に張る金額と、運が良ければ・・・という2割方の自信しか持っておらん馬券に対して張る金額のことぢゃ。 

1.確信の持てる馬券に突っ込むのが吉ぢゃ

 馬券おやぢの中にはよく、「俺は男だから、50倍以下のみみっちい馬券には手をださねえ」なんと吠えている者がおるが、それで50倍以下をちみちみした金額で10点以上も買っておるなら、それは単なる臆病な愚か者ぢゃな。50倍以下を10点買うことと、本命の5倍を1点買いすることは、投入する金額も配当の面でも全く同じ意味合いでしかない。10点を買う人間というのは、1点買いで馬券を当てることの難しさにおそれを抱き、「10点も買えばひとつぐらいひっかかるだろう」という妙な安心感に身を委ねておるに過ぎない。ところが実際には、読みに読み切った本命馬券の5倍と一か八かの50倍馬券の10点では、50倍馬券は的中率を足しあわせたところで5倍馬券の足元にも及ばないことは、確率的にも統計的にも明らかなことなのぢゃ。ならば馬鹿げたことはやらず、確信を持てる確率の高い馬券に大きな額をドンと突っ込むのが正しい。必ずしも1点に絞れとはいわん。3点に広げることで確信を得られるならばそれでもよし。要は自分が今買おうとしている馬券に確信が持てているかということぢゃ。確信を持って買う馬券さえ、馬連なら2回に1回も当たるものではない。確信の持てていない馬券なら、なおさらに分が悪いのぢゃ。そんな馬券にダラダラと投資してはいけない。

 

2.確信があるのならケチケチするな

 1回の投資金額をガッチリと決め込んでしまうと、6割の自信がある場合でも、9割方の自信がある時でも同じ金額を機械的に投入してしまいがちぢゃ。ぢゃが仮にオッヅがさほど変わらないのなら、後者に大きな額を投入するようにする方が結果として高い回収を得ることが出来るのは自明の理というものぢゃな。競馬に絶対は無い。それをふまえた上で、自信があるならなるべくの高額をどーんと投入するのが勝利への近道ぢゃ。それがメリハリのある賭け方というものよ。

 

3.自信がないなら勝負をするな

 ましてや2−3割の自信しかない馬券に9割の自信がある場合と同じ金額を投入することは馬鹿げている。というよりも、その程度の自信しかない時には勝負自体をするべきではない。じりじりとお金を削られるだけぢゃ。たまたま儲かる時があったとしても、長い目で見れば決して得にはなっとらんはずぢゃ。胸に手をあてて見ればわかるぢゃろ?とにかく冷静に自分を見つめ、今自分がどの程度の確信と確率を以てその馬券を買おうとしているのかを観察し続けなければならん。例えば競馬場に着いた直後、すぐに間に合ったレースの馬券を買ってはおらんか?少なくとも1レースはケンをせんと、その日の馬場の状態さえ良くわからないままに勝負を始めることになる。わざわざ不利な条件で勝負をするのは無謀というもの。冷静に見れば馬鹿げておる。メインレースだからと言って、実力馬が多数出ているレースに大枚をぶち込むのも同じぢゃ、あまり頭がいいとは言えないな。

 

4.引く度量

 競馬をやっていれば負けのこむ日もある。その日最初に勝負したレースや勝負レース、メインレースなんかに敗れたりすると、「ちくしょう、負けた分はとりかえしてやる!」という気持ちになってしまいがちぢゃ。ぢゃがこの考え方がドツボへの入り口となる。負けたレースのすぐ後に、確信の持てる高確率なレースが来てくれる可能性は少ないからぢゃ。負けているときには、その日最初に自分が持っていた金額のことは忘れなくてはならん。収入の目標も持つべきではない。あくまで基準にすべきは現在自分が持っている金額で、そのレースに対する自分の自信と、さらにはオッヅから導き出される結果の金額だけぢゃ。そこら辺の判断の冷静さに自信がもてないのなら、その日の勝負は下りてしまった方がよい。少なくとも、メインにつぎ込んで負けを食らったときには最終レースには手を出さない方が無難ぢゃ。単に傷を深めるだけの結果になるからのう。自信もツキもないときには、悠然と引くべきぢゃ。その度量こそ、おぬしらを救う最大の武器となる。

 

 なんか半分精神論的な内容になってしまったのう。次回はもっと論理的なお話ぢゃ、刮目して待て!

 

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