第五週 (実践編1)スポーツ新聞を征する者は週末を征すのぢゃ

 我々が馬券を買う時頼りになるのは、やはり競馬新聞ぢゃ。それは間違いない。しかし残念なことに競馬新聞は開催日前日のみの発行となっている。毎日の馬の調子や厩舎・騎手の声を伝えてくれるのは、実際にはスポーツ新聞なんぢゃな。但し、売らんかなの記事が多いのも又、事実ではある。ここはまず、正しいスポーツ新聞の活用の仕方といふものを教えよう。

1.月曜日は反省の時間ぢゃ

 基本的に土日は専門紙を買えばよい。わざわざ130円づつを払う必要などない。ぢゃが、週末の結果を伝える月曜日の新聞は結構重要ぢゃ。そこには次のレースへの大きなヒントが隠されている場合が多い。ひとつは騎手のコメント欄ぢゃ。敗因にせよ勝因にせよ、語られている言葉には有力(だった)馬たちのキャラクターが表されている。気性に関すること、ペースに関すること、力関係に関すること、将来性、距離適性。これらは少なくとも頭のノートの片隅には書き残しておかねばならん。できるのなら実際にノートやデータベースに書き残しておくといい。それらは強力な財産となるはずぢゃ。ふたつめは結果表の下に記される、レースのペースノートぢゃ。そのレースは果たして自分の思惑通りに進んだのか?考えたモノと違う展開になったのなら、その原因は何か?仮に的中したレースだとしても、自分の思惑と違った展開を経た末に得られた結末であるとするのなら、反省すべき材料はいくらもあるのだ。もうひとつ、最終オッヅの表などを見返してみるのもいい。はたして自分の資金投入は適切であったのかを検証することも無益ではない。

 

2.火曜と水曜は、記者の思惑が記事を作り出す

 火曜と水曜の新聞の競馬欄は、基本的には注目される馬のレポートや厩舎コメントで形作られる。火曜は主に週末のレースで1番人気が目される馬達。水曜はダークホース的な馬達の記事が紙面を飾るのが一般的ぢゃ。はっきりいって価値が少ない記事ぢゃな。倹約を旨とする人は買わんでよい。なぜなら、それらの記事は担当記者達の主観が大幅に入り交じったモノであったり、仲の良い厩舎に対する提灯記事であったりといった物が多く。下手をするといらぬ主観を植え付けられる恐れがあるからぢゃ。読むなとまではいわん。ぢゃが全ては眉に唾をつけてからぢゃな。厩舎のコメントも、記事の中では間にいろいろ言葉を挟んだりして誇張してある部分も多分に見受けられる。慎重に言葉を取捨せぬと、「まあまあ調子はでてきたかな」なんてコメントが、「○○○勝利宣言!」なんて書かれたりしかねんぞ。

 

3.木曜追いはよく目立つ

 木曜と金曜の新聞は、東西メインに出る馬達の追い切りの記事が紙面の中心となる。ここで注意せねばならんのは、大部分の馬の追い切りは水曜に行われ、木曜に追われるのはごく僅かであるということぢゃ。新聞は毎日景気良い記事を書かねばならん。でなければ売れんからな。ところが木曜の紙面には書くべき記事が溢れるほどあり、金曜の紙面にはさほどの量がない。これはどうなるかというと、仮に同じような調子の馬が居たとした場合、木曜の紙面では小さくしか扱われず、金曜の紙面なら大きく扱ってもらえるという事態となってしまう。それどころか、木曜追いきりにさほど目立った馬が見あたらなくても、紙面を盛り上げる関係上、どーんと大きく取り上げるといったことも行われる。下手をすれば木曜にさほどよい調教をしなかった馬の記事が、水曜絶好調だった馬よりも何倍もでかい面積をとるといった逆転現象まで起こってしまうんぢゃな。新聞を作る側も作る側で思惑や都合、制限などが必ず存在するのぢゃ。そこらへんを頭に入れた上で記事の取捨選択をしないと、それこそ新聞に躍らされる結果となるのぢゃ。

 

4.騎手のホンネが聞ける場所

 専門紙にはあまり騎手自身のコメントというものは載っていない。その殆どは調教師や助手、厩務員のコメントで占められている。騎手という職業は厩舎の所属騎手であれフリーであれ、ある種の人気商売であることは間違いない。我々客に対してではないぞ。厩舎関係に対しての人気ぢゃ。騎手というのは騎乗依頼をされてナンボの世界だから、厩舎筋から嫌われていてはお鉢が回ってくるはずがない。となれば、自然にレース前のコメントは甘くなりがちぢゃ。自分のトコの厩舎の馬をボロクソ言うヤツを、自分のトコの馬に乗せたがるヤツなんぞ、滅多とおるわけがない。それよりも、全く勝ち目がなくても「一発があるかも」と言ってくれる騎手を乗せたがるのが人情というものぢゃ。武や岡部のように一目置かれる存在になれば話は別ぢゃが、大部分の騎手はこうしたしがらみの中でコメントを述べている。それでもポロっとホンネが出てしまうのは、直前追い以外の稽古を付けた後などぢゃ。ここらへんはまだ厩舎側の目も甘いので、ついついスコンとハッキリしたことを言ってしまう。ぢゃから木金の新聞は、直前追いの所ばかりを呼読んでおってはいかん。意外に美味しい情報が隠されているかもしれんからな。逆に直前追いの騎手のコメントは、そんなわけだから少々疑ってかからねばならん。積極的に強気を示してくるようなコメント以外は、いっそ無視してしまったほうが、視界がクリアーになるというものぢゃ。

 

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